ブラームス作曲 7つの幻想曲 作品116 より 6番 ① ブラームスらしい深く神秘的な響きと和声感、宗教的なコラールのスタイルが現れる後期作品です。ダークな色調の和音は力ではなく重さを使って中に沈み込むように。音楽は歌わずに縦(和音)の動きに集中して真面目な雰囲気で。フレーズ感は時々現れる内声のレガートで表します。対照的な明るい響きは下から上の指のタッチに変えて。左手の動きのある部分は安定感を保てるよう動きの少ない指使いで。 ffはいい響きを作るため肩や背中、腰から出して打鍵後はすぐに脱力します。 大きな和音は堂々とゆっくりバラして大丈夫です。ペダルで濁らないよう指を残して踏み替えてレガートで。他のロマン派の作曲家とは異なるブラームスの音(=言葉)を意識しましょう。
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#147 ヘンデル 「ラルゴ」
1ページ目の後半から2ページを見て行きましょう。 オペラのアリアの編曲版なので原曲を聴いてから少し音を加えてみます。 前回に続きペダルをよく踏み替えて、柔らかく歌い、更に自然に歌が流れるように アレンジを加えています。和声も同様に味わい深くなるよう義終止にしたりと 和音に変化を与えましょう。 ソプラノは旋律的に歌って、暗いバス、掛け合いのアルト等それぞれの方向とバランスを良く聴きましょう。意識しましょう。強弱は巾広く。 起伏や緊張感を作るためフェルマータのように長く伸ばしたり、オーケストラの伴奏のように急にボリュームを上げたり、オペラのようにドラマチックに弾きます。 曲の最後は気品を保って少しdim気味に終わります。
続きを見る »#146 ヘンデル 「ラルゴ」
原曲はオペラのアリア「オンブラ・マイ・フ」です。 別の作曲家によるメロディーを用いてヘンデルが作り直しました。 カウンターテナーによって歌われる美しい旋律を持つ名曲です。 ピアノでもオーケストラと歌の部分を区別して弾きましょう。 長い音は歌うように次の音に繋げます。音が伸びるのをイメージして 少し圧を掛けても良いでしょう。音に合った身体の動きと奏法タッチを探します。 歌の入口の手前、オーケストラはritで。ソリストが入りオケは伴奏=ppになります。 歌手のようにアポジャトゥーラを使ったり三連符も固まらず曲線的な表現で。 実際に歌ったりと楽しみながら弾いてみましょう。
続きを見る »#145 シューマン=リスト 「献呈」
今回は献呈の4回目、コーダを見てみましょう。 安定した三連符の伴奏の合間を縫ってメロディーが入る部分です。 右手は盛り上がっても旋律的に。音楽的な意図による音の増減など 即興的な要素を入れてもよいでしょう。自由なタイミングで波を作ります。 和音の伴奏部も一部右手で弾くなどボリュームをキープしてヴィルトゥオーゾで。 アルペジオは大きくブレーキを掛けます。最後のシューベルトの「アヴェマリア」のテーマはシューマンにとってのマリア様=クララに捧げるように祈りを込めて。
続きを見る »#144 シューマン=リスト 「献呈」
今回は献呈の3回目、中間部の後からレッスンです。 右手の高音部のメロディー、交差する左手のアルペジオと伴奏の3つの要素から成る複雑な部分。音量のバランスとリズムを考えながら3つそれぞれ違うタッチで。 分散和音、アルペジオ型の間奏は指を柔軟に上げて軽く、アクセントで安定させながら自分のタイミングと強弱で弾きます。 次のテーマが左右の手に分かれて出て来る部分はよく聴こえるか耳で確認します。 最後のページも左右に表れるテーマを強調するように。 あとはタイミングを8分音符、4分音符の違いを意識的に練習しましょう。 脱力したフォルテのバスで音楽のクライマックスを盛り立てて。
続きを見る »#143 シューマン=リスト 「献呈」
今回は献呈の2回目、2-3ページ目のレッスンです。 まず2p目は変奏:テーマが左手に現れ右手が伴奏を受け持ちボリューム感が増します 左右バランスを保つ練習の為に、右手の伴奏はスタッカートで付点をリズム良く。 また左右それぞれ異なるタッチを意識します。 左メロディーはタイミングを大切に良く歌って。 連打は同じ指使いが音のコントロールが効きやすくお勧めです。 保持したい音はハーフペダルで。間奏leggieroは軽くaccel.気味にdim.に導きます。 美しく落ち着いたE-durの中間部の入口は歌詞の「安らぎ」の通りテンポを下げて それまでのlebhaftー生き生きとしたイメージを変化させます。 伴奏の連打は抑えてメロディーに合わせて自由に動きましょう。 左手の対旋律も美しいバランスで歌わせて。
続きを見る »#142 シューマン=リスト 「献呈」
今回はリクエストいただいた曲のレッスンです。 原曲はシューマンが妻となるクララに捧げた歌曲集「ミルテの花」の第一曲です。 言葉がそのまま音で表現される技法を「ワードペインティング」と呼びます。 リュッケルト作のロマンティックな詩(歌詞)を意識して演奏しましょう。 例えば「あなた」「浮かぶ」「永遠」等の言葉は強弱やアクセントを用いて細かく表現します。 最初の3小節のイントロはバランス良い立体感で。メロディーは入口から優しく。 歌曲のようにメロディーと伴奏部の差をつけて、強弱は豊かに。 余裕を感じられるようテンポはゆっくり自分のペースをつかむ練習します。
続きを見る »#141 ドビュッシー 子供の領分「小さな羊飼い」
前回の続き同じ視点テンポとリズムに着目して2ページ目を見て行きます。 リズムをコントロール出来る様にメトロノームで確認しながら少しづつ進みます。同じ動機が畳み掛ける様に繰り返されるクライマックスはアッチェレランドとクレッシェンドで盛り上げましょう。 技術に集中したい時は手も身体も脱力しながら繰り返すループ練習を効果的に取り入れてリズムを掴みます。 最後の符点モチーフは少し疲れたスウィングで曲のテンションを徐々に下げて rit.でゆっくりと動きが止まるようなエンディングに繋げましょう。
続きを見る »#140 ドビュッシー 子供の領分「小さな羊飼い」
羊飼いの少年がポケットから笛を出して吹いている可愛らしいイメージです。 同時にマジカルな、幻想的な雰囲気を持つ曲です。 「動きを持って」と「静かに」「ゆっくりと」の表示が交互に現れます。 細かい音符と長い音符が組み合わさったメロディーの中に自然なテンポとリズムを感じ取れるといいでしょう。ペダルはまずシンプルな響きを聴いて。 豊かな響きをつくるよりは 音を繋ぐ為に使います。 リズムやテンポを把握する為にはメトロノームも効果的です。 慣れてきたらカウントから解放されて柔らかく、笛が呼びかけるように 自由な流れに仕上げて行きます。
続きを見る »#139 ショパン マズルカ第13番 op.17-4
美しい13番のマズルカのレッスン2回目は中間から最後まで見てみましょう。 イ短調がイ長調に転調しmossoでテンポにも動きが出て来ます。 バスの上に5度音程が2階建で重なる和音は東欧の民族的な、太鼓や軍隊のような かつ気品ある響きです。メロディーは強弱アクセントを意識しながらレガートで。 クレッシェンドは軍隊が段々と近づいて来るイメージです。 急に激しくなった所でF音を残して周りが溶けるように雰囲気をガラッと変えて。 ショパンの魔法のような美しい世界を味わいましょう。 コーダはショパンマズルカの中では頻繁に登場する半音階の繊細で神秘的な モチーフです。装飾音のジャンプも趣味の良いタイミングで。 前奏と同じフレーズの最後は消え行くように終わります。
続きを見る »#138 ショパン マズルカ第13番 op.17-4
51曲のマズルカの中では最も知られた叙情的な美しい作品です。 マズルカの3拍子は2拍目または3拍目にアクセントが来ます。 ポーランドの民族的な舞曲のフィーリングを感じセンスある演奏に繋げる為に 他の音楽を聴いたり文化的な背景を知ることも大切です。 音はシンプルなのに美しく透明感のあるショパンの魔法を味わいましょう。 13番のマズルカは遅いテンポの「クヤヴィヤック」と呼ばれる舞曲がベースですが 停滞しないように動きや流れを意識します。 付点のリズムは鈍くならないようシャープに感じます。 前打音は拍の前が良いですが、拍に合わせるかどうかその時により自分の解釈で。 大きなルバートは身体を柔らかく内側から出てくる感覚です。 delicatissimoの繊細な表現は丁寧に。一つのフレーズを音の方向により グループ分けしてそれぞれの部分を違う音色、違うタッチで弾きましょう。 スタッカート部分はペダルを離したり、指先で鋭くはじいて。 和音を強調したい時はアルペジオで美しく弾く方法も。 バスが躍動する印象的な箇所はリズムを重視してメロディーも同じアクセントで。
続きを見る »#137 グリーグ ホルベルク組曲「サラバンド」
サラバンドを学ぶ最終回はグリーグの作品の続きを見てみましょう。 1ページ目に比べて2ページ目は強弱の激しい変化が見られます。 縦スラーはアルペジオの意味です。 音が混ざりあって不鮮明ならないようペダルの踏み替えに気をつけましょう。 fは大きくなり過ぎないよう配分を考えてffに余裕を残します。 クライマックスはテンポが上がってしまわないようブレーキを掛けて。 多声的な部分は特に隣り合う音が濁らないよう耳でペダルをコントロール。 ロマン派的に盛上がった後はバロック風の響きに戻ってシンプルに終わります。
続きを見る »#136 グリーグ ホルベルク組曲「サラバンド」
ロマン派の時代にバロックスタイルで書かれた組曲の2曲目です。 3拍子の2拍目を大切に弾きますが、アクセントというより重さを載せて 美しく弾くと良いでしょう。強弱は身体の動きも使ってコントロールします。 和声も大切です。アルペジオにしたり、ペダルで豊かに響かせて和音をていねいに聴いてみましょう。和音同士のつながり、変化を耳で観察して音色を確かめます。 こうして和音を比較しながら雰囲気も捉えて。 右手の和音の中でメロディーが自然に浮き上がるようにタッチを変えます。 装飾音は第三関節を柔らかく意識して、ペダルは離して弾きましょう。
続きを見る »#135 ハイドン ソナタ第50番(XVI:37)ラルゴ
サラバンド風に書かれたラルゴ後半です。 まずは前回と同じように16部音符の単位で拍をとりましょう。 間違った拍にアクセントをつけないようによい強弱で。 アルペジオは一番上の音が一拍目にくるよう前の拍から。 4拍数えて音の長さが確認できたら2拍に減らし、 段々に音楽に乗って数えることを意識せずに弾けるとよいでしょう。 付点のリズムは甘くならずに鋭く、テンポは思い切りゆっくりとって バロック風にドラマティックに仕上げて見ましょう。
続きを見る »#134 ハイドン ソナタ第50番(XVI:37)ラルゴ
サラバンド風に書かれた曲。リズムの特徴がそのまま適用されています。 自由なリズム=アゴーギグを用いて弾く場合の練習を丁寧に見ていきます。 まずは細かい16部音符の単位で拍をきちんと刻みます。そのために タイで繋がった音をあえて弾いたり、片手で拍を取りながらなど工夫します。 耳だけでなく指先でリズムを感じることも大切です。数えることから段々離れて 音楽の流れの中でリズムが自然に感じられる方に移行できるとよいでしょう。 2拍目を大切にするサラバンド風を忘れずに。でもアクセントの場所には気をつけて 切れ味のよいリズムで弾いてみましょう。
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